NSの左フロントフォークにはTRACという今は廃れてしまった機構が付いています。
俗に言うアンチノーズダイブ機構です。
詳しい構造は他の方のブログを見ていただきたいのですが、こいつはブレーキング時にキャリパーが前に動き、フォーク内のオイルの流路を塞ぐことでフロントフォークが突っ張る機構となっています。
これがあることで、ブレーキングしながら段差に突っ込むと、ものすごく跳ねた経験をするNSオーナーの方も多いのではないでしょうか?
かく言う僕もその一人でそれで何回か死にそうになった経験があります笑
そこで今日はフォークのオイル交換をしつつ、このTRACをキャンセルし普通のフロントフォークにしました!
そもそもこのTRACがあるお陰で、NSには持病があります。
それは左フロントキャリパーのガタつきです。
是非NS乗りの方は図の箇所キャリパーを前後に動かしてみてください。
TRAC機構のピストンの移動量は1.6mm程度ですが、経年劣化やピストンの固着などによりそれ以上にガタついている個体が多いのではないでしょうか?
僕のNSもそうなっており、尚且つ他のNSと比べてもガタつきが異常なほどありました。
そこで念のためにTRACが付いてる方のフォークと、キャリパーブラケット近辺を解体業者から購入しておきました。
部材が揃ったところで整備開始!
今日はNS400R乗りのUさんに協力いただいて作業を行いました。
先ずはフォークを外すために、カウル、フロントフェンダーを外し、キャリパーを外してみると…
ピストンとキャリパーの締結部に付いているはずのシムが入ってません(泣)
本来なら下の図のドナーのようにシムが入っています。
おかげさまでカラーを入れてもこんなに隙間があきます。
これが僕のNSのキャリパーのガタつきが大きい原因だったっぽいです( ´Д`)
原因がわかったのでドナーからここは移植します。
サクサクっと作業を進めていき、フォークが外れオイルを抜こうとすると…
これでもまだフルボトムじゃないんです笑
油面が測れない程度にオイルが入ってました笑
前のオーナーさんがフォークオイル交換してから納車してくれたのですがこれはな〜_(┐「ε:)_
これでは元のセッティングを記録する意味もないので、速やかにオイルを抜きました。
オイルが抜けたところで今日の本題に入ります。
TRACチャンバーを開けるとざっくり下の図のようになります。
上の図の下の穴に下の図の上の黒丸の部品が押し付けられる事で流路が塞がれてTRACが効く機構になってます。
つまり、ここが塞がれないようにすればTRACがキャンセルされるということです。
そこで使う部品はこちら
何かのタンクの固定カラーと袋ナットです。
カラーの方はサイドに穴を開けてあります。
そいつを組み合わせて、
TRACチャンバー部に組み込んで
後はチャンバーに蓋をしてあげると、TRACのキャンセルが完了。
こうする事で、カラーに開けた穴を通るのでオイルの流路が確保される他、ピストンが袋ナットで外側に押し出した状態で固定されるので、ピストンが前後に動くキャリパーを後ろに押し付けてくれ、キャリパーのガタつきも解消します。
Uさんが昔にこの方法に行き着いたらしいですが、本当にすごいとしか言いようが無いですね…
TRACがキャンセルされたので、後はフラッシングをし、フォークオイルを入れました。
フォークオイルはヤマハの10番と15番を1:1で混合。
油面はサービスマニュアル通りの110mmにしました。(NS250のサービスマニュアルは改定されてるので注意。因みに110mmは改定後)
後はプリロード調整なのですが、ドナーで買ったフォークと僕のフォークを比べると、スプリングの上のカラーが足りない!
前のオーナーさん!(泣)
しょうがないので、片方はドナーから流用し、もう片方はワッシャーを重ねて同じ高さにして入れました。
フォークが完成したので、早速効果を試すためにいつものK森へ…
の前に昼飯タイム笑
道中にある、まるたけで油そばをいただきました。
これでも並盛り笑
お腹がいっぱいになりましたので早速K森へ。
少しばかり走った感想なのですが、本当に最高です!
ブレーキをかけると、フロントフォークがしっかりと仕事してくれてるのがわかります!
そしてネックだった段差もしなやかに衝撃を吸収してくれるようになり、やっと普通の挙動をするバイクになってくれました!
NSってこんなに曲がりやすかったんだ…
でも今までフォークが突っ張った状態でライディングしていたため、ところどころ変な癖がついているのでそこは少しずつ修正していかないとダメですね( ´Д`)
TRACをキャンセルすると今まで以上に快適に、安全に乗れるようになるので、是非NSオーナーで足回り換装をされてない方はお試しください!